高校時代、僕は文芸同好会に所属していた。
同好会とは言うならば部活以下の存在で、活動も週1だし、 特段ノルマもなく、 顧問も形だけなので年一回くらいしか姿を見せず、 ただただダラダラと雑談しながら放課後を過ごすだけの集まりだっ た。
僕はというとその時間がかなり好きで、 毎週水曜日の放課後を結構楽しみにしていた。
文芸同好会の詳しい話は省くが、この時、僕は初めて「彼女達」 の存在を知った。
そう、腐女子だ。
※何それって人用の説明!
腐女子とは、ホモが好きな女の子の事なのだ! 怖いね!
説明おわりっ!
文芸同好会
文芸同好会は1年の時こそ男女比が均衡していたものの、2年、 3年と上がるにつれて男女比が崩れ、パワーバランスも崩れ、 言うならば腐女子の巣と化していたのだった。
なんとなく彼女達が如何わしい本のやり取りをしているのは気付い ていたが、特段気にする事もなく平和に過ごしていたのだった。
しかし、ついにある日、 彼女たちの会話が耳に入ってきてしまった。
少しクラスでの用事が長引き、 いつもよりも遅れて空き教室へと辿り着いた時の事だった。
既に空き教室には2,3人の(腐)女子達が集まっており、 雑談に華を咲かせていた。 階段までワイワイしてる声が響いていたが、 放課後のこのフロアは誰も人がいないので問題ない。
教室の扉をあける直前で、ふと聞こえた言葉に手を止めた
「えーww じゃあ☆君は?ww」
僕の名前だった。
自分の知らないところで自分の話をされているのは非常に気になる 。何故なら本人を前にしては言えないような、取り繕う事のない「 本音」が聞けるからだ。
悪い事ではあるけど、好奇心に負け、 扉に手をかけたまま聞き耳を立てることにした。
「まあ、受けでしょww」
「受けだねw」
「間違いなく受け!」
「受け以外ない!!」
僕は満場一致で「ウケ」だった。 本人の意見無しに決定されると何かすっきりとしない。そもそも「 ウケ」って何さ。
「やっぱそうだよねーw」
「オーラ出てるもん。受けのオーラ!」
「誘い受けかな?」
「いやぁ、総受けでしょ」
「総受けwwwそれだwww」
「間違いなく総受けwww」
「そういえばこの前山本君とじゃれあってたし!」
「マジでー?ww」
どうにも僕は「ウケ」の中でも満場一致で「ソウウケ」だった。
いや「ソウウケ」ってなんだよ。山本がなんだよ。 オーラも出てねーよ。
まったくもって埒が明かないので、 わざとらしく扉を音を立てて空ける事にした。
彼女達の顔は良く覚えてる。「やっべ」って顔してた。「 やっちった」って顔してた。「聞かれた!?」って顔してた。 ばっちり聞いてたよ。
とりあえず近くの椅子に腰かけて、輪に加わり一言。
「ソウウケの☆ですこんにちは。……で、ソウウケって何?」
何かすごい笑ってた。笑ってごまかそうとしてたと言ってもいい。
ここで初めての「腐女子講座」を受けることになった。
再現するのでみんなも受講しよう。
腐A「とりあえず☆君、責めの反対は?」
僕「は? 守り?」
ガヤガヤヒソヒソ エーマジデイッテンノー ガヤガヤガヤ
僕「んだよ」
腐A「はい静粛にー。 ☆君、それは忘れてください。これからは攻めの反対は『受け』 です」
僕「あー、さっき言ってた奴! で、受けって何?」
腐A「あー、その何ていうか……受け身っていうか、ん~~と…… 」
僕「なんだよ。はっきり言えよ」
腐A「はっきり言っていいの?」
僕「いいって。はやくし……」
腐A「チ○コ突っ込まれる方」
僕「
」
腐A「突っ込まれる方」
腐A「チ○コを」
僕「
」
腐A「聞いてる? だから尻の穴にね……」
僕「待って。タイムアウト。一回タイムアウト。 ちょっと待ってね。タイムね。一回タイム。ターーーーイム!」
想像以上に、もの凄い世界が広がっていた。
※イメージ画像
つまるところ、彼女たちが話をしていたのは
「男同士でS○Xをする場合に、どちらが責めて(つまり挿…… 入……?)、どちらがそれを受けいれるのか」
という話だった。こわい。
しかもたぶん、今、尻の穴って言った。嘘じゃん。無理じゃん。 それそういう場所じゃねーし。 そりゃそっちに突っ込むAVとかもあるけさ。何で男同士だよ、 その行為に何の意味があんのさ。
腐A「再開します」
僕「ひっ」
腐A「 そんなわけで突っ込まれる方が受けと言う事は分かりましたか?」
僕「よくわかりました。それで、やばくなったらまたタイムアウトしてもいいですか?」
腐A「認めましょう」
僕「ありがとうございます……それで、その「ソウウケ」と言うのは「受け」 の一種なんです……?」
腐A「正解! 素晴らしい! 拍手!」
スゴーイ カシコーイ アタマイー パチパチパチパチ
僕「んだよ」
腐A「はい静粛にー。その通り。 総受けというのは受けの中の一種です。他にも誘い受け、襲い受け、男前受け、俺様受け、クール受け、オヤジ受け等々、様々な種類があります」
僕「奥、深くない? そんでその総受けは他の受けと何が違うのさ」
腐A「よりいっそう突っ込まれる」
僕「タイム」
腐A「場合によっては複数受け入れる!」
僕「一回タイム」
腐A「何が何でも突っ込まれる、それが君だ!」
僕「あの、タイムアウトを……」
腐A「さっきとったから駄目。つまり下の口だけではなく上の口も。場合によってはさらに手も使い……」
僕「タイムアウト・・・・・・」
腐B「友人からもそのような目で見られ、 電車に乗れば痴漢にあい、学校では教師に……」
僕「タイムアウト」
腐C「 4人いても何故か2対2ではなく1人で3人を相手にする事になる 。何故ならそれが総受けたる故の……」
僕「
」
もう僕ね、逃げた。
バッカヤローーーー! つって。
もう汚された。
汚されてしまった。
(※心象風景)
何て世界なんだ。何て奴らなんだ。
こんな人種が世の中にいるとは知らなかった。未知すぎる。 知らない方が良い世界の話だった。何で男の尻の穴に男のアレを… …。
・・・・・・狂ってる!
腐女子何て、嫌いだ。
高校二年生、17歳、春。
僕が、初めて「腐女子」という存在を知った日だった 。
しかし数年後、僕はこの「腐女子」という生き物に、 あろうことか告白し、そして付き合う事になる。
それはもう少し先の話。
彼腐/zero 彼女が腐女子です その0 了
彼女が腐女子です。 その1 へ続く
※総受けについて誤解があるとのことなので正しい解説おいておきます
総受けとは
どのキャラクターとカップリングさせた場合も必ず受けになるキャラクター。あるいはひとりのキャラクターが作品に登場するすべての攻めキャラクターに好意を持たれている状態のこと。「総愛され」とよばれる場合もある。
ていうか何で僕がこんな解説せなあかんねん!
解説おわりっ
(;´∀`)…うわぁ…
・・・・・それは逃げて正解だね・・・・・ドンマイだね(´・ω・`)ノ
>>リンさん
まあ昔の話なんだけどね!!!!
凄く面白かったです。
総受けとはなんぞやのくだりが面白かったです。
2019年の今は??実際??みたいな話あったらさらにもりあがると思います。